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EF-111JはEF-111Aの仕様を一部変更し航空自衛隊が導入、運用した電子戦機である。
愛称は米空軍と同じRaven。非公式にCrowと呼ばれている。

概要
1970年代後半に入ってくるとソ連は長・中距離射程ミサイルを装備した高度な対空警戒能力を持つ広域エリア防空艦などを中心とした総合艦隊防空システム構築を計画し、日本近海での脅威を増していた。
航空自衛隊では1977年にF-1支援戦闘機、1980年にはASM-1(80式空対艦誘導弾)が制式採用され対艦任務にあたる計画であったが、ASM-1は射程距離が約27海里(約50km)と短く、発射母機が敵艦に反撃される可能性があり、広い防空エリアを持つ敵艦隊に対して確たる優位性を持てないとの見立てもあった。
勢力を増す東側諸国の脅威に対抗すべく新型のミサイル開発も急がれたが、別角度からのアプローチとして敵艦のレーダーをジャミングし無力化を目指す、いわゆる海洋SEAD機導入計画が立ち上がった。
当初はF-1支援戦闘機の大規模改修(F-1改計画)と共に電子戦機化改修としてEF-1の開発が立案されたが、そもそも国産で戦闘機に搭載可能な小型で強力な電子妨害装置の開発経験がないため運用開始までに大幅な期間がかかるのが明白なことから、アメリカから電子戦に特化した機体を購入せざるを得ず、1978年~1979年度に作成された中期業務見積もり(53中業)にEF-Xの導入が盛り込まれた。
候補に挙がった機体はEA-6A、EA-6B、そして初飛行したばかりのEF-111Aであったが、鈍足なA-6系では超低空を高速で飛行し目標に向かうF-1に先行もしくは追従するエスコートジャミングは困難であることから、F-111譲りの超低空高速飛行を得意とするEF-111Aほぼ一択の状態であった。
また、(機体の性格上、国際情勢的にも武装させる事が難しいため)足の速さで脅威を振り切る事が可能なのは本機だけであった。
輸出が禁止されているAN/ALQ-99Eを装備していることが最大のネックであったが、アメリカはF-111F型への移行で持て余したA型を売却したい意図もあってか、一部機能の簡素化とシステムのブラックボックス化をすることで機体の売却が承認された。
SEAD機の任務は最前線で敵地に乗り込み敵のレーダー網を妨害、無力化することで、自機あるいは味方機が攻撃できるようにすることであるが、これが敵地先制攻撃にあたるとして物議を醸し、一時世論や議会が紛糾する事態もあった。
これに対し、「あくまで自国に脅威を与える敵艦隊への対抗手段であること」及び「EF-111自体は空対地ミサイルや爆弾はおろか機銃などの物理的攻撃能力を有さない」ことを条件として導入が決定した。
上記の条件より、F-106J導入時と同じく空中給油能力をキャンセルすることとなり、搭載電子機器類も一部米軍の仕様と異なることから、シリーズ名は”J”とされた。
愛称のRaven(レイブン)はワタリガラスを意味するが、日本に多く生息するハシボソガラス、ハシブトガラスを指すCrow(クロウ)と非公式に呼ばれることが多い。
1986年に最初の機体を受領。
その後順次購入機数を増やし、90年までに13機の機体を調達し部隊配備を開始している。
F-1改からF-2に機種転換後もEF-2Bの部隊配備がなされるまで運用を続け、2016年に全機が退役した。


運用
対艦攻撃任務を担う支援戦闘機F-1と同じ三沢基地(第502飛行隊)と築城基地(503飛行隊)に配備された。
航空団所属機ではなく、航空総隊の直轄部隊であり、RF-106E/Jを運用する501飛行隊と同じく非戦闘機扱いの本機は飛行隊定数の中には含まれていない。
対艦攻撃随行任務はもちろんのこと、日本近海での海上自衛隊や米海軍との演習の際に電子妨害機の仮想敵役として参加している。


機体
機体はAN/ALQ-99がダウングレードされたことと、空中給油機能がキャンセルされたこと以外は基本的にEF-111Aと同一である。
機体色は洋上での任務がほとんどのためF-1の森林迷彩ではなく、ダークグリーン/ブルーグレイの洋上迷彩が基本となっている。
試験的にF-1を模した森林迷彩を施した機体や、運用末期にはF-2と同じブルー系の洋上迷彩に塗装された機体もあった。



ギャラリー


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