IMG_9497



FB-22BはF-22Aの発展型で対地攻撃能力を強化させたマルチロール機であり、F-14Gの後継機である。

 
概要
 
F-22A開発時にロッキードマーチンは派生型として戦闘爆撃機タイプのFB-22を提案していた。
その内容は

・多岐にわたる空対地兵装オペレーティング、長時間侵攻のために複座化
・ウェポンベイの拡大
・外部搭載式のウエポンポッド
・F-22Aと30%の部品を共有
・無尾翼デルタ化
・F-35と共通のアビオニクス

などが主であったがF-22Aの開発遅延による価格高騰を受けて2006年に計画が中止された。
しかし2007年にミズーリ空軍州兵所属のF-14Eが空中分解を起こし墜落、アメリカ空軍の所有するすべてのF-14に対して点検を実施したところかなりの個体が想定よりも老朽化していることが判明する。
アメリカ空軍は議会に対して改めてF-22を増産してF-14との代替が必要と訴え、議会も検討に入り2009年にF-22Aの増産が決定した。
その上でF-14Gの後継機にあたる対地攻撃特化型のF-22案が再び持ち上がることになる。
当初計画されていた無尾翼デルタではなく、コストを抑えるためF-22Aとエンジンを除く50%以上の部品を共通化しつつ胴体の延長と複座化、ウェポンポッドによるステルス性を維持したままのペイロード増強などが図られた。
アビオニクスは同じロッキードマーチンが開発していたF-35の物と同等とされ、F-22AにはないEO DASやEOTSなどより洗練されたものを搭載し、火器管制レーダーも対地攻撃により特化したものとなっている。
シリーズ名はF-22Aとの混同を避けるためFB-22”B"とされ、A型は存在しない。
2012年に試作型のYFB-22Bが製作され、2013年に初飛行。
2016年より量産機が生産され、2019年までの初期作戦能力獲得を目指し、その後は順次既存のF-14Gと置き換える予定である。


機体

最大の特徴は単座のF-22Aから胴体が約2m延長され、複座になったことである。
後席にはWSO(兵装システム士官)が搭乗し、兵装やレーダーの操作、戦果確認の視認などを行う。(1)
なお、後席にも操縦系統が用意されている。
IMG_9188
(1)対地攻撃任務は単座のF-22Aでも可能ではあるが、より多種の対地兵器や電子戦機器を搭載し、高速低高度での侵攻など多彩で複雑な任務を想定しており、長時間の任務におけるパイロットの負担軽減や任務の精度向上のために複座化された。
WSOの役割をAIに代替するUCMAS(Unmanned Comprehensive Mission Assisting System)の搭載も検討されたが、UCMASプロジェクト自体の遅延が著しくキャンセルされた。
 
胴体が延長されたことで3つのウェポンベイも拡大され、従来AIM-9系のみの搭載であったサイドベイにはAIM-120を搭載できるようになった他、胴体下面のメインベイにGBU-39やGBU-53などのSDBを最大12発、サイズの関係上運用できなかったGBU-31、GBU-28を最大2発搭載できるようになった。
更に主翼下にF-22専用(2)のEWP(ウェポンポッド)を装備できる。
全長8メートルに迫るこの大型のEWPにはGBU-31やGBU-28D/B(3)を1発、SDBであれば最大12発、AIM-120など空対空ミサイルの混載や燃料タンクをも搭載可能であり、ステルス性をの低減を抑えつつ多種多様な兵装の追加運用可能にし、一基あたり最大約5000lbの機外搭載能力を付与する。
これにより最大ペイロードこそ非ステルスのF-14Gに若干劣るものの、スーパークルーズによる高速性とステルスによる隠密性で、より高度な攻撃能力を獲得している。 
もちろんステルス性が重視されない任務の際は従来機のように主翼のパイロンに武装を懸架することも可能である。
対地攻撃が主任務のため固定武装の機関砲は打撃力を重視した25mm口径のGAU-22/Aの装備が検討されたが、CAS(近接航空支援)など機銃を用いる対地攻撃任務はF-35Aの主任務であり本機を投入する見込みはないとして、F-22Aと同じM61A2のままとなった。
IMG_9537
主翼に懸架されたEWP
(2)このウェポンポッドはF-22Aにも装備できるが、機動性を重視してか運用することはほとんどない。F-22A/C向けには空対空ミサイルを大量搭載可能な縮小版を開発中である。
(3)GBU-28をF-22Bのウェポンベイ/ポッドで運用するため翌幅を縮小したモデル。
 
エンジンは対地任務が主となる本機に偏向推力機構付きのF119は不要との見立てとコストダウンを狙って、F-35A/Cに大量採用されているF135-PW-400となった。
F119よりも軽く、約20%推力の高いF135を2基搭載することにより、複座化・重装備化で重くなった本機でもF-22Aと同等の速度性能を維持できている。
IMG_9538
プラット・アンド・ホイットニーF135ターボファンエンジン。
F119の推力偏向能力は失ったが、出力のより高いエンジンを装備することで速度性能維持を図っている。
 
 
アビオニクスはAN/APG-77(v)1を搭載することで空対地走査能力が向上され、地上移動目標識別・追尾、地上目標マッピングなどを行えるようになっている。
またF-22Aに搭載されたAN/AAR-56はF-35と同じAN/AAQ-37 EO DASに換装されたことでHMDヘルメットのバイザーを介して全球状の視界を獲得し、AN/AAQ-40 EOTSによりパッシブな索敵能力も可能となっている。
これによりHUDははじめから装備されていない。
アビオニクス関係は今後計画されているF-22AのF-22Cキングラプターへのアップデート計画でFB-22Bと同様の装備になると推定されている。

IMG_9543
EOTSはF-35のものと酷似しているが、FB-22Bの機首形状似合うよう若干の変更が加えられている。


 ​
仕様
 
FB-22B
乗員: 2名
全長: 20.95m 
全高: 4.22 m 
翼幅: 8.29m
空虚重量: 20.900kg
最大離陸重量: 43.170kg 
動力:F135-PW-400 ターボファンエンジン×2
 
性能
 
最大速度: マッハ2.31
フェリー飛行時航続距離: 3400 km 
実用上昇限度: 20000 m 
固定武装:M61A2 20mm機関砲×1 
 



ギャラリー

IMG_9235
IMG_9368
IMG_9467
IMG_9401
IMG_9386
IMG_9514


 



このモデルの製作記はこちら